- ワークピア横浜
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〒231-0023
神奈川県横浜市中区山下町24-1
日本動物実験代替法学会 第28回大会 大会長
一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所
山影 康次
この度、日本動物実験代替法学会第28回大会を2015年12月10日(木)~12日(土)の3日間、ワークピア横浜(神奈川県横浜市、http://workpia.or.jp/access/)にて開催させていただくことになりました。
日本動物実験代替法学会は、動物実験の適切な施行の国際原則である3Rs(Replacement:動物を用いない代替法への置換、Reduction:動物数の削減、Refinement:動物に対する苦痛軽減)の推進と普及を目的とし、研究、開発、教育、調査等を行う学術団体とされています(http://www.asas.or.jp/jsaae/outline/index.html)。
多数の実験動物が我々ヒトに対する安全性評価のために使用されていることから、それらの動物実験に代わる代替試験法開発はこの学会の重要な研究課題の一つです。新しい試験法をガイドライン化するためには、2005年に発行された試験法バリデーションに関するOECDガイダンスに従い、技術移転性、試験の再現性や予測性を評価するためのバリデーション試験が必要となりました。このため、新規試験法のガイドライン化の道のりは険しいものとなっています。しかしながら、2003 年のEU化粧品指令第7 次改正の公布によって代替試験法開発は加速され、眼刺激性、皮膚刺激性や皮膚感作性などの局所毒性に関する代替法が開発され、我が国においても、JaCVAM(Japanese Center for the Validation of Alternative Methods)の協力のもとに複数のバリデーション試験が行われ、国内発のOECDガイドラインが誕生しています。
第28回大会では、まずは、国内で行われている新規代替試験法のバリデーション試験の現状を紹介する2つのシンポジウム(皮膚感作性試験と眼刺激性試験)を企画しました。そして、動物を用いる毒性試験の中でもより複雑で、難易度の高い一般毒性試験のこれからの代替試験法開発を考えるために、特別講演として、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部部長の菅野純先生をお招きし、「代替試験法の問題点と今後の方向性-毒性学的観点からの考察-」と題して動物における毒性学の専門家の立場からご講演いただきます。また、これからの代替試験法開発において重要な役割を担うと考えられるES/iPS細胞や組織工学的手法に関するシンポジウムを企画し、5名の先生にご講演いただきます。代替試験法開発の現状は、我々ヒトに対する安全性評価にはまだまだ動物実験が必要不可欠であることを示しています。従って、動物福祉の国際動向の理解を深めることも、この学会の重要な活動の一つであることから、教育講演として、ISO/TC194 Biological and Clinical Evaluation of Medical Devicesの動物福祉に関するワーキンググループのConvenerである黒澤努先生にご講演いただきます。その他、株式会社資生堂および一般社団法人日本化学工業協会の協賛によるシンポジウム、マンダム助成研究報告会、学会主催の国際シンポジウム、日本医化器械製作所の協賛によるランチョンセミナーが行われます。
第28回大会のテーマを「考・動物実験代替試験法の今とこれから」としました。ありきたりではありますが、今回は講演会場を一つとし、参加者全員が一つ一つの講演について議論することを通して、代替試験法開発の現状と将来について考える場を提供したいと考えています。300名近い方に事前参加登録していただきましたので、是非、皆さんの活発な議論をお願い致します。
最後になりましたが、予想を上回る多数の企業・団体からご支援を賜りました。また、講演を快くお引き受けいただいた先生方や大会運営委員の皆様のおかげをもちまして大会開催までこぎつけることができました。第28回大会開催をお引き受けしたものの、私の器で無事大会開催ができるか大変心配しておりましたが、この学会は、多くの学会員や企業・団体がこのように積極的にご協力してくださる環境にあることを実感致しました。
皆様のご支援・ご協力に心より感謝申し上げます。